AIRCOOLED/RD

高回転は焼付きが怖いんだよね~

RDの救済に向かう

今日は、古くからの友人が再びRDを手に入れ、レストア中と言う事を聞いていたので様子を見に行ってきた。
実はこの友人、当時、私が乗っていたRDの元の持ち主である。

RDは最終型で、話で聞いていたよりも遥かに状態が良い。
これなら大して手間もかからずに、復活出来そうだ。

今日の作業は、オーバーフローが止まらないと言う事だったので、キャブレターのばらしから始める事になった。
キャブレターを見ると、フロートチャンバーが左右逆に付けられているのに直ぐに気付いた!
ここは初めての人が良くやってしまう所です。
RDの最終型に付いているVM28には、フローチャンバーを通りメインエアにつながる通路があり、その為のニップルがフロートチャンバー横に付いている。
そのニップルは、左右のキャブレターの内側に来ないといけないのである。
このニップルにパイプを連結すると、その上部エアクリーナー側に、その連結パイプを繋げるニップルが存在している。
この連結パイプを繋げないで走行してしまう事は、2次エアを吸っているの同じ状態で、症状としては、高回転でガス欠の状態になり支障を来します。
最悪、焼き付きの危険性が高い状態です。
又、キャブレターの状態全体でも、スロットル開度1/2以上で特に薄い状態となる可能性が高いとおもわれます。

RDのキャブレターを外した時に忘れやすい連結パイプと言えば、もう一箇所あります!
RDに付いているVM28には、左側だけにチョークプランジャーがあるのだが、チョークした時に右側のキャブレターに連結させるためのニップルがあり、右側のキャブレターの対称の位置にパイプを連結させるニップルが付いている。
この連結パイプを忘れてしまう事が多いので気お付けなければならないが、こちら側は、走り出してエンジンの状態が正常ではない事に直ぐ気付くことが多いので比較的大きなトラブルになる事はないと思う。
よって、チョークプランジャーが左側にのみ着いている為、スタータージェットもフロートチャンバーの左側にのみ付いている。
RD用VM28のフロートチャンバーは、左右が決まっているのである。
逆に付けてしまう物としては、スロットルバルブを逆に組んでしまう、と言うのがある。
通常スロットルバルブには、カッタウエイと言う部分があり、丸いスロットルバルブの片一方に斜めに切り欠き状の部分が存在する。
そのカッタウエイがエアクリーナー側にこなければならない。
エンジンをかけようとした時の、始動性が非常に悪くなる筈です。

肝心のオーバーフローの原因だが、この点については一概に特定できない場合が多いように思う。
よく考えられるものとしては、ニードルバルブの段差がある。
ここは当然、新しい物に交換するのが理想だが、段差があるからと言って必ずしもオーバーフローするわけではないように思う。
と言うのも、新しい物に交換してもオーバーフローが止まらなかった経験があるからだ。
実は、私が現在乗っている、角タンクに元々付いていたニードルバルブも状態は良く、段差が殆んどありませんでした。
当時は、オーバーフローが止まらない原因が特定できず新品のバルブシートアッセンブリに交換してみたが、結局オーバーフローは止まらなかったのである。
私の時のオーバフローの原因は、このタンクのサビがニードルバルブ先端に溜まる事で発生していたのではないか?と言うのが取り合えづの結論になっている。
フロートチャンバーを開けると細かいサビが何時も底の方に少し溜まっていた。
前もってタンクのサビ取りは行っていたが、細かいサビがまだ出続けていたのである。
普通、サビが出ていたタンクの持主は、ガソリンコック直後にフィルターを付ける事が多いと思う。
私もそう思ってフィルターを付けていたが、サビの粒子が非常に細かい為に、フィルターが役目を果していなかった。
タンクのサビ取りを改め行った後、フロートチャンバーを外してはサビが出ていないかを確認した。
これを何度か行って行くうちに、オーバーフローの症状は無くなって行きました。

その他オーバーフローに関しては、ガソリンコックのオーバーホールを行って置く事が必要と思う。
通常、オーバーフローが問題になるのは、バイクを放置した後、気付くとオーバーフローしていた…というパターンが殆んどだからだ。
燃圧が掛かった状態において、フロートの浮力でニードルバルブを押付けているのは、油面を一定に保つ事が本来の役目なので、長期間燃料を停止させる機能までは無いと理解すべきだろう。
よって、自然落下式の場合、ガソリンタンクからの燃圧は、ガソリンコックをOFFする事により解消しなければならない。
ガソリンコックの不具合がオーバーフローの一因になるのである。

イメージ 1RDの純正ガソリンコックには、内部に→樹脂で出来た円錐状のコーンがあり、コック本体側の対称な円錐面に常時スプリングで圧着されるようになっている。

イメージ 2画像はコックノブを下に回したONの状態、左側に水平でOFF、右でRESになる。
円錐状のコーンは中心部分が空洞になっており、円錐面に90度の間隔に穴が開いる。
コック本体側にもオンとRES2つの穴があり、コーンの穴との位置関係において、圧着されたコーンを90度回転スライドさせる事で、オン・オフ・RESを切替える事が出きる。
問題は、サビや何らかのスラッジが、コーンとコック本体の圧着部分に入り込む事で、コーンの圧着を阻害し、樹脂製コーンの円周方向に筋状の傷を多数付けてしまう事である。
円周方向の傷は、コック本体側円錐面にも主に対象の位置に於いて磨耗を進めてしまうと思われます。
よって、定期的にこの部分を分解し、状態を確認することが重要なのである。
当時私がコックをOHした時は、樹脂コーンにコンパウンドを少量塗り、圧着させながら回転させる事でコーンの傷を解消する事が出来た。
だが、傷の程度、状態によっては、既存のコックをアッセンブリで交換しなければならない事になる。
今回のRDもコックのOHは、まだの様なので一度点検しておいた方が良いと思う。

サビがオーバーフローの原因になる事を長々と書いたが、目の前のRDには当てはまらない。

何と!このRDの外装・・・タンクも含め全てピカピカの、新品だったからである…(爆)