AIRCOOLED/RD

高回転は焼付きが怖いんだよね~

高効率レギュレート・レクチファイヤーの自作 (その2)

前回、記事に書いように、RZのレギュレートレクチファイヤーを流用して、フィールドコイルを1つ駄目にしてしまいました(涙)

 

当時の私は予備パーツをせっせと集めていた事もあり、予備のフィールドコイルは既に入手済みでしたので、交換すればよいのですが、このままでは、またフィールドコイルが駄目になるのは目に見えています。
バッテリー点火の角タンクにとって、生命線とも言えるレギュレーターは、専用の物が必要ですので自作する事にしました。

 

レギュレート・レクチファイヤーの回路図です。
自作と言っても、回路は例によって、ライトスタッフ、光安さんの回路(GX250用)を参考にさせて頂いています。
細かい部分はこちらを参照下さい。
レギュレーター
GX250 FETレギュレータの製作
GX250 レギュレータによる電源ノイズ
GX250 FETレギュレータの改良
レクチファイヤー
GX250 レクチファイヤの損失測定
GX250 低損失レクチファイヤの製作

 

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回路図は、レクチファイヤーとレギュレーター、オリジナルの回路を合体させたものです。
ヒートシンクは、RZのレギュレーターの中身をくり抜いて使いました。

 

レギュレーター部分は、ツエナーダイオードで規準電圧を作り、バッテリー電圧が14.4Vを越えた瞬間にトランジスターがオン、FETのゲート電位をグランドに落としてFETがオフ、フィールドコイルへの給電を停止します。

 

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給電には、オン抵抗の少ない大電力用MOS-FETを使う事で、回路内での電圧降下が少なくなっています。
(2SK3163は、背面のフランジがドレイン2と繋がっていますので、実装では、ショットキーバリアダイオードと同じように絶縁する必要があります。)

 

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画像は完成したレギュレーター部分です。
充電電圧を指定回転数で合せやすくする為に、多回転タイプの半固定ボリュームを追加し、実装後の微調整が可能になっています。
この画像の時点では、R3は100Ωにしていましたが、現在R3は、200Ωになってます。(他の部分も変えています)
現在の角タンクで、レギュレーターのコントロール電圧を14.4Vに調整した所、R3~VR1間の抵抗値は約300Ωになりましたので、VR1(100Ω)は略、最大まで使っています。
その為、調整幅を持たす為に、回路図では240Ωにしています。

 

R3~VR1間の抵抗値を下げていくと、コントロール電圧は下降します。(追記参照のこと)
ジェネレーターの状態や配線の状態(メインハーネス劣化)等によって電圧降下があると、コントロール電圧は多少上下する可能性があります。
大きく外れる場合は、R3の抵抗値を調整してください。
念のため、ジェネレーター関係の抵抗値は、一度測定しておいた方が良いと思います。

 

レクチファイヤー部分は、ダイオードに、ショットキーバリア・ダイオードを使いダイオードブリッジを形成します。
使用したショットキーは、RZ用のヒートシンク内に収める為に、TO-220パッケージの物を使用しました。
トランジスタかFETのような3本足ですが、中にダイオードが2つ入っています。
1、3がアノードで、2、4がカソードになります。

 

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ショットキーバリアダイオードの特性として電圧降下が少ないので、その分電気を多く取り出せます。
結果的に発熱が少なくなり、発電系統の仕事を減らす事にも貢献しているはずです。

 

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画像左側に、ブリッジに組んだフルモールドのショットキーが写っていますが、これはテストに使っただけで、実際の回路では耐圧の高い右側のショットキーを使いました。
画像は、これからブリッジに組み立てて行くところで、右側に写っているのが完成したレギュレーター部分です。
実装用のショットキーはフルモールドタイプではないので、カソード4の面をヒートシンクにそのまま取付けてしまうと、ショートしてしまいます。

 

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ショートを防ぐ為には、放熱シリコンシートを接触面に挟み、取付けネジも絶縁ブッシュを使ってカソード4との接触を同時に防ぐ必要があります。

 

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レギュレーター、レクチファイヤー供に電圧降下の少ない最新のパーツに置き換える事で高効率の回路になっています。
駄目になったフィールドコイルは、抵抗値が規定値5.5Ωのところが3Ωに低下していましたので、磁力も低下(低回転時)し、発電能力も低下していたと思われますが、ノーマルのレギュレーターとレクチファイヤーも、長期間の使用で内部の半導体が劣化し、数ボルトがロスしている事も考えられます。
今回のレギュレートレクチファイヤーに置き換えることで、数ボルトを余分にフィールドコイルに給電出来る事から、フィールドコイルの磁力も上昇し、発電能力も上がっていることでしょう!

 

完成後の配線についてポイントがあります。
このレギュレーターは、バッテリー電圧を監視する事で定電圧を維持しますが、電圧を検知する為のセンス線を何処から引っ張ってくるか?が重要です。
センス線は茶(※1)からとっていますが、長い配線の途中で電圧降下があるとコントロール電圧に影響してしまいます。
電圧降下は配線自体の劣化によるものと、配線の途中でヘッドライト点灯などにより電圧降下してしまう場合があります。
どちらも、コントロール電圧が上昇してしまう原因になります。
これを防ぐ為には、センス線を出来る限り、バッテリーに近いところへ接続する事です。
私はリレーを使い、バッテリー近くにセンス線が接続できるようにしています。

 

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最後に注意事項です。

 

この回路はRDシリーズに関しては角タンク専用(※3)です。
フィールドコイルの配線前後の部分を見て頂くと解ると思いますが、フィールドコイルのマイナス側を制御するタイプ用になります。
このレギュレートレクチファイヤーは、バッテリー電圧を感知しながらフィールドコイルへの給電をコントロールし、定電圧を維持するタイプなので、他のタイプには使えません。
良く解らずに使用した場合、配線が燃えたり、バッテリーが過熱、爆発などのトラブルが考えられますのでご注意下さい。

 

因みに、直接確認した訳では無いのですが、RD250,350初期型(チリル式レギュレーター)は、フィールドコイルがプラス側制御の可能性が高いようです。
光安さんが、XS1用、プラス制御のレギュレーターを製作されていますので、そちらの回路を参考にすると良いかもしれません。

 

※前回の記事でRZのレギュレートレクチファイヤーを流用して5.5Ωから3Ωに抵抗値が低下してしまったのを、断線したと思われる、と表現してしまいましたが
バッテリー上がり等、発電能力不備による支障は無い事からも断線はありえません。
正確には、加熱等によりフィールドコイル銅線表面のエナメルが消失し、絶縁破壊(レアショート)が起きた為に抵抗値が低下。
特に低回転時、発電能力の低下が懸念されますので、夜間の走行などで不安があります。
こうなると、フィールドコイルを予備の物に交換するか、無ければコイルの巻き直しをするしか方法はありません。
巻き直しは、業者に頼むのが普通ですが、しんいちさんは、ご自分で巻き直しをしてしまいました!(爆)
いや~参考になります!?

 

※1:ヤマハでは茶色線がメインのプラスと言う前提があります。
※2:部品選定時は、定格(耐圧)に十分注意の事。
※3:私自身は未確認ですがRDの初期型はプラス制御?と言われてます。本来はプラス制御の回路を使用するのが前提です。理由は配線がプラス制御用に作られている為です。単純にマイナス制御の回路を繋いだ場合回路が破壊される可能性がありバッテリーの状態も不具合の発生が考えられます?が・・配線(メインハーネス)をマイナス制御用に作り変えればマイナス制御用回路の使用は可能と思います。