AIRCOOLED/RD

高回転は焼付きが怖いんだよね~

レストアの日々その2 (キャリパーのOH)

不都合箇所については、他にもあるのですが、内容をレストア作業に移したいと思います。
文中の作業時の画像ですが、当時の画像を探していますので、発見した物は後日掲載したいと思います。

ブレーキは、言うまでも無く命に係わる最重要部品なので、レストアは徹底的に、満足の行くまで行います!
まず、固着したピストンを取り出して行きます。
片方のキャリパーは、比較的楽にピストンを抜く事が出来ました。
此方は、海外のリプレイス・ピストンに交換されているようです。
サビも少なく状態が良いので再使用に回します。

この車両は、過去にレストア及びメンテナンスされていた形跡があります。
もう1つのキャリパーは、固着したピストンを外す為、ピストン中央にネジを切り、ボルトで引出した後がありました。
此方はメッキ浮きが激しかったのと、ダストシールを噛み込んで固着が激しく、抜くのに苦労しました。
このピストンは使用不可なので、状態の良いピストンを入手する為、部品取りのキャリパーをヤフオクで2つ入手する事にします。
キャリパーシールキットをバイク屋で注文します。
ヤマハは、現在でも古いモデルのパーツを供給してくれるのでありがたいです。
その点、ホンダは最近大変みたいですね…

固着したピストンの外し方ですが、全て油圧で抜いています。
普通、オーバーホールなど、油圧でピストンを出す場合、最近のキャリパーはパッドを外すとピストンを左右均等に出しても、ピストンを抜くだけの余裕が普通あるものですが
角タンクまでのキャリパーは、丸いディスクパッドをキャリパーボディーが保持するように回り込んだ形状をしている為に、ピストンを出す事が出来ても、間が狭くて片方のピストンを押さえ、出て来たピストンをつかんで出すと言う事が出来ません。

そのため始めの頃は、ピストンが出てきたところでキャリパーを分解、ピストンをプライヤーで掴んで取り出した後、またピストンをキャリパーに戻しキャリパーを組み立て、エア抜き後、もう片方のピストンを油圧で引き出して…
なんて事をしていましたが、非常に効率が悪いのです。そもそもピストンは頑固に固着していますので、その作業だけでも大変です。
その後もCRCを吹きながら辛抱強く、固着したピストンをもみ出しながら少しずつ、油圧で出して行きます。
この作業だけで何日もかかっています。普通であれば、この時点で諦めていもおかしくないかもしれません…
余りにも効率が悪く、作業が進まないので、このような方法でピストンを取り出す事にしました。
イメージ 1

左右のキャリパーボディーを180度回転させて組む事で、片方のピストンを押えながら、両方のピストンを同時に引き出す事が出来るようになります。

作業効率は向上しましたが、ダストシールにサビや汚れが不着していてピストンの固着が酷いので、取り出すのには数日を要しています。
合計4つのキャリパーからやっとの事、ピストンを8個取り出しました。
ピストンのサビを真鍮ワイヤーブラシで落として、ピカール等を使い磨き上げます。
ピストンの内側は、サビを落とした後、エポキシ系のサビ止めで塗装しておきます。

キャリパー本体は、塗装をする前に、キャリパーの掃除をしておきます。
このキャリパー、材質はスチールで出来ていますので、素早く防錆処理をしないと塗装されていない所が、あっという間に錆びてきますので注意が必要です。
内側にもサビがありましたのでサンポールを使いサビ取を行いました。
レストア当時は、日々錆びとの格闘だった様な記憶がありますね…

塗装が終わったら、注文しておいたキャリパーシールキットを組み込みます。
組込み時にはシリコングリスをシール類に塗っておきます。
ピストンを真っ直ぐこじらせないように、ゆっくり押し込みます。
最後に、キャリパー間にシール入れた後、キャリパーを組んで完成です。
両側のブリッジボルト2本と裏側からヘキサゴンボルト2本を規定の締付トルクで締付けます。
イメージ 2

キャリパーのレストア作業は、固着したピストンを外す作業が殆んどを占めると思います。
CRCをスプレーして油圧を掛けたまま数日放置や
簡易なバイス等は油圧で簡単に歪んでしまい、固着したピストンに油圧を確実に掛けられません。
片方のピストンを押えても油圧で出て来てしまい、固着したピストンに油圧が掛からないなどの連続です。
なかなか進まない作業には、忍耐強さが必要かもしれません!!
まあ、のんびりやれば良い事なんですけどね~(笑)

現在は各メーカー供、ブレーキキャリパーに関しては、非分解部品と言う扱いになっていますが、角タンクのキャリパーは、通常のメンテナンスにおいても、キャリパーを分解しないとピストンを引き出せない構造です。
命に係わる箇所ですので、レストア作業をされる方は、くれぐれも安易な作業をされる事の無いようにして下さい。
作業には、トルクレンチなどの特殊工具なども当然必要です。
分解、組立てに関しては、サービスマニュアルを参照の上、締付トルク等の管理を確実に行ってください。
この当時のサービスマニュアルは、解説が大雑把で、必要にして十分な内容となっていますが
締付トルク、配線図、等のレストアする上で重要な、サービスデーターを知る事が出来ます。
(続く)